空を見上げていたら、
「君は 鳥だよ」
誰かが言った。
僕が鳥？ 鳥だって？
僕は、 海を泳ぐんだよ？ 鯨やイルカのように。
だって ほら、
彼らのような しっかりとしたヒレが付いているでしょう？
「でもね、 君は "鳥"なんだよ」
嘘だ！ だって、 飛べないよ？
鳥なら 空を飛べるのでしょう？
でも、 僕は、 空なんか飛べないんだよ
それから僕は 空を見上げる
僕は 鳥 でも、 飛べない鳥
僕は鳥だという事を、
僕に鳥だと気付かせた声を、
僕はそれから 恨めしく思った
毎日見上げる空 広く、 高く、 遠い 空
僕は恋こがれるようになった
空を見上げていたら、
「君は 鳥だよ」
誰かが言った。
僕が鳥？ 鳥だって？
僕は、 地を駈けるんだよ？ チーターやインパラのように。
だって ほら、
彼らのような しっかりとした足が付いているでしょう？
「でもね、 君は "鳥"なんだよ」
嘘だ！ だって、 飛べないよ？
鳥なら 空を飛べるのでしょう？
でも、 僕は、 空なんか飛べないんだよ
それから僕は 空を見上げる
僕は 鳥 でも、 飛べない鳥
僕は鳥だという事を、
僕に鳥だと気付かせた声を、
僕はそれから 憎らしく思った
毎日見上げる空 広く、 高く、 遠い 空
僕は恋こがれるようになった
広く、 高く、 遠い、 青い、 蒼い 空に
でも、 僕らは 飛べない
鳥だというのに、 空を飛べない
なら、 何故、 僕らは"鳥"なんだろう
何故、 飛べない僕らが"鳥"と言われるのだろう
知らない方が よかった。 鳥だという事を
見上げなければ よかった。 空なんか
でも､ 知ってしまった 見上げてしまった
「君らは鳥なのに､
何故 その広大な海原を すべるように泳ぐ事が出来るの？
何故 その広がる台地を 踏みしめながらも走る事が出来るの？
僕らは､ 海に落ちたら飛びたてない｡ 地に降りても走れない｡
僕らにとっては､ 死に近い場所。 とても危険な場所なのに、
君らはそこに居る事が出来る。 自由に"飛ぶ"事が出来る。
鳥だというのに。
同じ "鳥"だというのに。」
僕らは 鳥。
飛べない 鳥。
でも・・・・・・