翔び発つ

  

ぼろぼろになった肢体を引きずり、尚も 彼女は進もうとする。

何がそこまでさせるのか。 彼女の内には、どんな想いがあるというのか。

ゆく先には、 何が待っているというのだろうか。

その眼には、強さと優しさが燈り、 真っ直ぐに前を見据えている。

 

傷だらけになった羽を広げ、尚も 彼女は翔ぼうとする。

もげてしまいそうな、紅く染まった羽を広げ、 翔び発つ。

ゆく先には、 誰が待っているというのだろうか。

確信は無いまま、 かすかな希望だけを その内に秘め、

苦痛にゆがむ顔に、 眼だけは輝かせ、

海原の彼方へと 消えていった。

  

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