冷たいようだけど

  

ボクはキミに手を差し伸べたりはしない。
優しく微笑み、 「 おいで 」 と言う事も ない。
ただ 腕を組み、 キミを観ていよう。
キミがボクを頼らないよう、 冷たい眼差しで観つめていよう。

    つまづ
キミが躓き、 傷付いても。
たとえ倒れてしまおうとも。
もう 二度と起き上がれないようでも。
未来も 希望も、 なくしても。

キミは きっと、 泣くだろう。
    わめ    なげ
叫び、 喚き、 嘆き、 失望し。
やがて 虚無を見るだろう。
夢や希望は あり得ない事と、
全て虚夢であったのだと。
自分の手足を、 心を傷付ける。

それでもボクは、 手は差し伸べない。
キミを包もうとも しない。
何も言わない。 でも、 聴こう。
キミの苦しみを。
キミの痛みを。
キミの 本当の声を。

ボクは 待つ。
ただ 腕を組み、 キミを観続ける。
助けもしないし、 優しくもしない。
キミが自分で起つために。
キミが 自分の翼で翔ぶために。
ボクはただ、 ココで待とう。
キミが自分の翼を広げ、 自分の翼を信じ、
たとえボロボロになってでもココまで来たら、
その時はじめて声をかけよう。
キミの真っ直ぐに伸びた手を、 しっかり受けとめよう。
そして抱きしめ、 こう言おう。

「 さあ、 行こう。」 と。

  

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