庭の鯉
戸を繰る度に口あきてまつ
父は鯉が大好きでした。 私が生まれ育った前の実家でも、縁の下まである池にはいつも沢山の鯉が泳いでいました。 新しい家に引っ越した時も工夫を凝らした池を作り、毎日覗いて餌をやったり楽しんでおりました。
その庭の池の傍に佇み、大好きな鯉を眺めている至福の時に倒れて、 そのまま帰らぬ人になったのです。 77歳でした。