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管理人の日記ログ
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私にとってはFF13のためのハードでした |
先日、長い長いFF13企画も無事に終了し、私のPS3もその役目を終えた。そういうわけで、本日は「PS3の思い出」を振り返ってみることにしたい。
…まず、PS3こと「プレイステーション3」は、日本ゲームが全盛期であったPS2の後継機として登場し、「Cell」と呼ばれた専用CPUを始めとし、「ブルーレイディスク」「HDMI出力」など、2006年当時としては桁外れの超絶高性能を持って発売された。しかしながら、その船出は出鼻からくじかれる形となり、5〜6万円という高い価格設定が足を引っ張ったうえに、当時はその性能を活かしたソフトも少なく、ライバルハードの攻勢にもハッキリ遅れを取っていた。前にも書いたが、当時は「PS3は何故失敗したのか」という題名の本がコンビニに並ぶくらいに、不出来なハードであると思われていたのだ。
――その後、長い期間が経ち、2009年12月の「ファイナルファンタジー13」など、PS3の性能を活かせるようなソフトが出ると、少しずつ普及が進んでいった。しかしながら、既に日本市場ではDS/PSPなどの携帯機に人気がシフトしていたうえに、海外ではXbox360と市場を分け合う形となり、さらにそれから少し後には携帯電話(スマートフォン)が爆発的に普及していったことにより、結局のところPS2時代のような一極集中は取り戻すことができなかった。捉えようによっては、PS3が日本ゲーム市場を衰退させたと言えなくもないくらい、多くの問題を抱えたハードであったのだ。
ただ。それをもって、「PS3は失敗」と判断するのは、私は違うと思うのである。PS3は、市場を分散させ、製作者にもユーザーにも混乱を強いたという点はあったものの、その後のPS4に繋がる多くの反省点を残したからだ。
…例えば、メインプロセッサの「Cell」に関して言えば、当時はPS3以外の様々な機器にも積んで一大コンピューティングを作り上げるという壮大な構想があり、PS3がその中核を担うという感じであったようだが、PS3世代ではPCやXboxとのマルチプラットフォームが基本となったため、専用構成による開発のしづらさが大きく足を引っ張る形となった。それを反省して、PS4では汎用PCに近い構成とし、ソフトウェアの作りやすさを重視することになった。もし、PS3の失敗がなければ、PS4もピーキーな本体設計で、性能を引き出すのが大変なハードとなっていたかもしれない。そうなれば当然、制作側にもユーザー側にも、大きな不利益が生まれていただろう。
――また、PS3時代に先駆けて搭載していた、「ブルーレイ」や「HDMI」といった技術は、2006年のゲーム機としては完全にオーバースペックであった。しかしながら、それから13年が経った今となっては、もはやそれらの無いゲームなど考えられない。また、同じくPS3世代に多くの投資を行った「ネットワーク機能」や「プレイステーションのワールドワイドスタジオ」などは、PS4世代になって花開き、製作者と消費者に莫大な利益をもたらしつづけている。それらを考えると、PS3の“失敗”は、「必要な失敗だった」とも言える。あのPS3が有ったからこそ、今のPS4時代が存在するのだ。もっとも、日本メーカーに限ってみれば、もう二度と全盛期は戻ってきそうにないが…。
そんなわけで。業界的には、PS3は失敗と成功の二面性を持つと評価するのが妥当なところであろうが、私個人としてはどうだろうか。それはもう、「ファイナルファンタジー13」のためのハードだったと言うしかないものだ。
…というのも。「ファイナルファンタジー13」は、忘れもしない2009年12月17日に発売されたタイトルだが、その初報は2006年5月と、FF12が発売されてすぐの頃に発表が為された(【E3 2006の動画】)。この頃は、ソニーも今とは比べ物にならないくらい日本市場に力を入れており、FF13もPS3の専用タイトルとして猛プッシュをしていた。しかしながら、当時はマイクロソフトもゲーム市場を奪い取ろうと尽力をしており、「Xbox360へのマルチ化が決定」→「日本ではPS3独占」→「日本でもXbox360版が発売」と、少しずつトーンが弱まっていったのには、きっとマイクロソフト陣営からの横槍もあったのだろう。そして、そうやって開発が右往左往したこともあってか、それとも純粋にスクウェアエニックスの開発力が既に落ち始めていたのか、FF13自体が賛否両論の作品となってしまった。その後、PS3ソフトを中心とした「ファブラ・ノヴァ・クリスタリス」構想も中途半端な形で立ち消えとなり、そしてスクエニは二度とまともなFFの正統続編を出せなくなってしまった。
――と。そんな業界事情とは関係なく、私個人はFF13を楽しんでいった。初回プレイの印象はそれなりという感じであったが(【2010/1/5】)、その後に「クリスタリウムなしクリアー」というやり込みプレイを始め、それを連載していく中で、評価は一変し、FFの中でも最高峰のものとなった。そして、その後の2011年には、シリーズ内続編の「FF13-2」が、同じく2013年には「ライトニングリターンズ」が発売され、それぞれ初期の評価は散々なものであったが、最終的にはシリーズ全てを楽しめるようになった。あの、2014年12月から始めたFF13企画(【2014/12/17】)は、4つの壮大なプレイ日誌を1年で完結させるという当初からファブラノヴァ級に無理な構想であり、実際に様々な事情によって大幅に遅れてしまったものの、4年3ヶ月を掛けて全てを完結させることができた。文章としても、プレイ内容としても、当サイトにおける史上最高の戦いであり、これを超えるようなゲーム体験は、今後も永久に無いであろう。それくらい、私にとって「ファイナルファンタジー13」とそのシリーズ作品は、特別なゲームであったのだ。
そんなわけで。私にとって、PS3はFF13のためのハードであった。他にもプレイしたゲームは僅かながら存在する(「地球防衛軍4」「バイオハザード5」など)ものの、FF13シリーズの圧倒的な印象には遠く及ばないというものだ。
…さて。世間のゲームの主戦場は完全にPS4へと移り、そこで遊びきれないほどの大作が数多く発売され、海外タイトルも含めれば、PS2時代すら凌駕するような新たな全盛期となっている。もちろん私も、現在のPS4の状況には概ね満足をしているし、PS3時代から支え続けてきた人間として、嬉しく思う気持ちもある。だが、PS4には、PS3でのFF13のように、私にとって圧倒的な存在感を持つソフトが出ていないのだ。平たく言うと、私はPS4にも「FF」を求めていたのである。題名が付いただけの粗悪品ではない。魅力的な演出と斬新なシステムを兼ね備え、やり込みプレイの対象としても遊べる、最先端ゲームとしての「ファイナルファンタジー」を…。だから、どれだけPS4で多くの新作が出ようとも、私の心にはポッカリと穴が空いたような感じとなってしまっている。そういう観点で捉えると、世間の印象とは裏腹に、私にとってはPS3は成功で、PS4は失敗とも言えるのだ。
――というわけで。私にとってのPS3は、あの「ファイナルファンタジー13」に出会えたという意味で、とても素晴らしいハードであった。またPS4でも、他のハードであっても、あのように深く楽しめるゲームを見付け出したいものだ。長い間お疲れ様でした、PS3さんm(_
_)m
(2019年3月18日)
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