その影は、ひたひたと 足音をたてずに 前から付いてきた
周りには何も無く、ただ ポツリ ポツリとある 街灯が、ぼんやりと灯っていた
月も 星も 出ない、天と地の 境目の無い 真っ暗な道を、確かに何処かに向かって 歩いていた
影は 相変わらず 前から付いてくる
いつから あの影は いるのだろう・・・ずっと ずっと 付いてきている
ずっと ずっと 威圧している
ふと気付くと、影との距離が 狭まっている
殺られるな・・・・・・ 漠然とした確信が あった
そう思った瞬間、もう 体中の肉という肉が 削ぎ落とされていた
影は 表情も変えずに 後に立っている
全身に 鈍痛が あった しかし 不思議と 気分は 落ち着いていた
「そうか・・・ そうだったのか・・・・・・」
影は 自分だった
これは 夢なのだろうか・・・