私は最初、白だった。
私は 白
混ざり気の無い、純白な 白。
でも、ずっと真っ白でいる事は出来ず、
一適 一適と、他の色が混ざっていった。
それでもそれは微々たる量で、
まだまだ 真っ白に見えていた。
やがて 淡いピンクになったり 薄い浅木色になったり。
少しずつ いろづき始めた。
少しずつ 少しずつ、一適、また 一適と。
気が付いた時には、全然違う色になっていた。
白とは ほど遠い、色 また 色・・・
今はもう 黒に近い、濁った 汚らしい 見たくもない色。
あの 様々な綺麗な色は 何処へ行ってしまったのだろう。
淡い柔らかな色は 何処へ行ってしまったのだろう。
二度と戻れない色になってしまった。
「白を混ぜてごらん。
一適、また 一適と。」
そんな無駄なと思いつつ、気休めに白を落とした。
少しずつ 少しずつ、一適、また 一適と。
最初は黒に近かった私は、
だんだんグレーになっていった。
少しずつ、少しずつ、明るさを増していった。
少しずつ、少しずつ、淡いグレーになり、
一適、また 一適と、元の白さに近づいていった。
やがて私は 白へと戻った。
元のような 純白な白ではないけれど、
長い時間が かかったけれど、
ちょっと落ち着いた感じの 白になった。
思えば、真っ黒にはなってなかった。
だって、元々は 白だったのだもの。
どんなに汚れて 暗くなっても、
真っ黒には 決してならなかった。
ちょっと ほっとして、鏡を見てみる。