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管理人の日記
「2D決定版」?「究極のドット」? どの辺が??
Yesじゃないが |
先日深夜に、海外のFF公式Twitterから、2月24日発売のピクセルリマスター(笑)版FF6の新動画が公開された。【こちら】がそのツイートである。
…内容は、「魔列車にメテオストライクを掛ける」という5秒間の短い動画であり、説明には「Yes,
you can still suplex the train in Final Fantasy VI pixel
remaster.」とある。訳すなら、「ええ。ピクセルリマスター版FF6でも、列車を投げ飛ばすことができます」という程度である。
が、この5秒ほどの動画が公開された瞬間、各所からツッコミが殺到した。まず、「魔列車にメテオストライク」自体は、FF6原作からの恒例ネタである。それを宣伝に出してくるということは、少なくとも、“それがファンから愛されるシーンである”ということは理解しているのだろう。が、最重要である「魔列車が逆さになって降ってくる」が再現できていない。それを筆頭に、たった5秒の動画で、少なくとも3つはおかしい場所があるのだ。
――やれ。わざわざ発売前にここを見せてきたということは、「これが宣伝になると思っている」「再現に力を入れたシーンである」といった理由があるのだろう。しかし、FF4の尻から暗黒剣&腕立てカイナッツォ(【日記:2021/8/28】)、FF5の水没ウォルス城(【2021/10/29】)と同じで、完全に間違い探しと化している。本気でこれで原作を再現できていると思っているのか、はたまた開き直ってバグゲーとして話題にしてほしいのか、私には分からない。だが、これから10年間、こんなものを「ファイナルファンタジー6」として世間に広めていかなければならないのである。「Yes」じゃないだろう!
◆1 メテオストライクで逆さにならないのはおかしい
最大の問題点である。このシーンは「電車ですら投げられるマッシュ」だけでなく、「行儀よく逆さまになって落ちてくる魔列車」のほうもネタ扱いされていたため、半分しか再現できていないと言える。
これまでのFF6には、原作であるSFC版に加え、移植版としてPS・GBA・旧スマホ版が存在するが、もちろん他のバージョンは全て逆さになって落ちてくる。つまり、今回のピクセルリマスター版が、最も再現度が低いということになるのだ。
このピ版の表現だと、見ようによっては、「持ち上げたけど、重すぎて潰された」というふうに見えなくもない。マッシュくん、君が重量物にマッシュされるのは、崩壊後の話だ。やはり、崩壊前から崩壊しているのか…。
◆2 走りのドット絵が2パターンしかない
次に、マッシュ以外のキャラを見てみると、何故か異様にせせこましく、ガクガク走っているように見える。これは、ドット絵のパターンが少ないからである。
というのも、ゆっくり再生をしてみると、ピクセルリマスターでは、「@両足を揃えている」と「A片足を前に出す」の2パターンを繰り返していることが分かる。ところが、他バージョンだと、「@'左足を前に出す」「A'両足を揃えている」「B'右足を前に出す」の3パターンが存在し、これらを組み合わせて4コマとすることで、走っているように見せている。SFC・PS・GBA版はもちろん、ドット絵の静止画としての品質に問題のあった旧スマホ版ですら、3パターンを使用していた。そんなわけで。この点においても、ピクセルリマスターだけが大きく劣化していると言える。
やれ。ピにおける「静止画としてのドットの品質」が悪いのは、見れば分かる。しかし、それに加えて、「アニメーションとしての質」まで、大幅に劣化しているのだ。質の低いドットに、誰が打っているとか、関係ない。良い物が作れないのなら、原作のドットをそのまま使え。
◆3 背景が明るすぎる
最後に、ピ版は、背景が明るすぎて雰囲気が台無しになっているのである。
やれ、ここまで散々ネタにしてきたが、魔列車は本来「死んだ魂をあの世に連れて行く存在」であるため、恐ろしい雰囲気での戦いとなる。そのため、背景の奥のほうは明るくなっているが、手前は暗くなっており、そのコントラストが特徴的である。線路がギラっと光っているのも印象的だ。しかし、ピクセルリマスター版では、全体的に明るくなっており、ただの霧に包まれた森という雰囲気である。
ちなみに、「GBA版は、GBA本体のディスプレイに合わせて、明るめに調整した」と言われることがあり、確かに全体的に明るくなっているが、魔列車戦における「奥と手前のコントラスト」「ギラリと光る線路」などと言ったポイントは残されている。旧スマホ版も、ピ版寄りだが、それより遥かにマシと言える。やはり、ピクセルリマスターが、最も再現度の低いバージョンなのだ…。
【ニコニコ動画】より。こうやって動画化されるほど、魔列車戦は愛されていた… |
というわけで。これまで私は、ピクセルリマスター(笑)を、「史上最低のクソ移植」などと呼んできたが、言いすぎかな…と思う気持ちもあった。
――が、他の移植版と細かく比較して、ハッキリと分かった。文句なし、「原作の再現度」でも「純粋なクオリティ」でも劣る、最悪のクソ移植である。しかも、今回の5秒の動画だけで分かる点に加えて、GBA版での追加要素も無ければ、音楽も雰囲気に合わないアレンジだ。どう評価しろと?
さて。私としては、「ピクセルリマスター」のことはさっさと忘れて、原作のベタ移植を含む、次の策をすばやく取ってほしい。しかし、実際には、このピクセルリマスターを、FF1〜6の最新の移植作として、長く扱わなければならないであろう。
…そのため、私としては、FFファンサイトとしての限界を感じるのだ。ピは史上最低品質だが、私がFFシリーズを、過去作を含めて広めていきたいという気持ちは変わらない。よって、「ピクセルリマスター以外の移植版で遊んでください」と言いたいところなのであるが、残念ながら、ゲーム専用機でプレイ可能なのは全て新品の出荷が終了したゲーム機であり、旧スマホ版もピのために配信停止となってしまった。そのため、現時点でも環境を整えるのは容易と言えるようなものではなく、今後は更に手間が掛かるだろう。よって、このピ版を、新規ユーザーに勧めていかなければならない。劣化版を、わざわざオススメしなければならないのだ。クオリティの高さに惹かれてFFを好きになった人間として、なんと嘆かわしく、なんと情けないことか…。
さて。「ピクセルリマスター」の作品自体は論外だ。そして、製作に関わった人間たちも、「コレジャナイ」、もとい「お前じゃない」と呼ぶに相応しい。そして、これを“FF”の名で出していいと思ったスクウェア・エニックスの上層部も、信じられない。FF1〜6という、実に本編6作品に相当する範囲が、ナンバリングだけで言えば半数に迫る作品が、一気に最低品質で占められてしまった。それによる悪影響が、想像できなかったのであろうか。
…とりわけ、FF5,6については、これまでの移植も完璧とは言えなかった。しかし、ピクセルリマスターは全方面における劣化版であり、前向きに選択できる理由が全く無い。なぜ、わざわざ作り直して低品質にしたのだ。馬鹿なことをやっていないで、旧版をそのまま配信しろ。
(2022年2月14日) 4992 PV
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