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管理人の日記
今の子供たちとその親は、課金ガチャやオンゲに対して、どう向き合っているのだろう?
バラバラのマークが使われていたのを分かりやすくしたのはCEROの功績 |
ゲーム好きの皆さまはご存じの通り、日本のゲームは、CERO(コンピューターエンターテインメントレーティング機構)によって、A・B・C・D・Zの5段階で、対象年齢が記されている。本日は、これについて触れつつ、今の世の中では必要不可欠となった「ゲーム規制」の是非について考えてみたい。
…やれ、私が初めてこのCEROのマークを目にしたのは、PS2の「メタルギアソリッド3」(2004年)であった。当時の私は10代中盤であり、マークについては全く知らず、店員からも特に何も言われることは無かった。後に、「CERO18」というレーティングの意味を知って、驚いたものであった。
――ちなみに、CEROのレーティングについては、18以上のみ対象の「Z」を除いて、消費者に購入制限を設けるものではない。また、販売会社側にも、「レーティングを与えない」以上の何らかの罰則を与えることはない。ただし、ソニーも任天堂も、CEROに審査されていないゲームは流通させていないので、これは事実上の検閲と捉えるべきであろう。
さて。このCEROについて、ゲーマーたちは規制される側ということで、何かと嫌われることが多いようだ。しかしながら、私は、ゲームが社会に広く受け入れられる娯楽になるためには、こういう組織の存在はやむを得ないと思うのである。
…例えば、冒頭の「メタルギアソリッド3」は、PS2での2作目であるが、単純なグラフィックが向上したこと以上に、殺人・拷問といった暴力表現がパワーアップしており、イベントシーンでの演出は、こちらまで痛みが伝わってくるような凄惨なものである。また、単なるセクシー要素だけでなく、性行為を露骨に匂わせるような演出や、核兵器の使用・国家や軍事といったものへの特殊な思想など、えげつない表現がこれでもかと取り入れられている。そう考えてみると、「CERO18:恋愛・セクシャル・暴力・犯罪」というのは、妥当であるように思う。
――では、立場を変えて、「自分がゲームに無理解な親」であったとする。世間が「ゲームが犯罪の原因に!」などと騒いでおり、そして小学生の息子が「メタルギアソリッド3」のような過激な作品をやっていたとしたら、まるごとゲーム機自体を取り上げたくなるような気持ちになるかもしれない。残念ながら、世の中は常にゲームをやらない人間のほうが多数派であり、ゲームはいつの時代も攻撃を受けている。そういう圧力からゲームを守る…つまり、お父さんお母さん世代から丸々ゲーム自体を禁止されないように、CEROのような自主規制が必要となるのだ。とりわけ、最近のゲームが本気を出せば、「メタルギアソリッド3」など比べ物にならないほどの表現が可能であるため、仮にCEROが無かったとしても、何らかの規制は必須だっただろう。
そういうわけで。初代プレイステーションあたりから、各ゲーム会社・ソフト会社は様々な自主規制を行ってきた。しかしながら、冒頭のバイオハザードシリーズ8作(1〜7と、コードベロニカ)では、「暴力シーンが含まれている」という旨を説明するために、5種類ものマークが使用されている。同じメーカーの同じシリーズですらこれなのだから、ゲーム業界全体では様々な表示が乱立していたはずだ。そして、私のようにゲームに慣れている人ですら「?」となってしまうのであれば、無理解なお父さんお母さん世代など、もはや意味が分からず、まるごと滅ぼさなきゃ…という感じになってしまうだろう。
…ということで。それらが分かりやすくなるように、CEROという団体を作り、共通基準のレーティングを与えたことは、もう少し評価されて良いと思うのだ。まあ、CERO自体の知名度がゲームを知っている人以外には無なのであるが、私に言わせてみれば、子供のやっていることに責任を持つため、簡単なCEROのレーティングくらい自分で調べたらどうだと言いたい。小説も漫画も映画もテレビ番組も、ごく一部を除いてレーティングなど為されていない。それに比べれば、全ての作品が分かりやすく5段階に分類され、「暴力」「性表現」「思想」などといった理由も示されているゲームソフトは、実によくやっていると言えるではないか!
――ちなみに。私自身のことを言えば、もうCEROのどの規制にも縛られることもなくなったが、自分がゲームできれば他のことはどうでも良いと思うほど非協調的ではないため、小さな子にゲームを勧める際など、このような基準を守っていきたいと思う。これまで無頓着であったが、インターネットが一部の人だけのものでなくなった以上、このサイト運営も考えていったほうが良いかもしれない。そして、今の世間では、Vtuberだとか新興SNSだとか、私にも分からない新しいものがどんどん増えてきているので、そういうものにも分かりやすくレーティングを振っていってほしいと思う。やはり、知識が無いと、一番危険なものを基準として、全てを禁止せざるを得なくなってしまうからだ。
1万円など1分あれば消せます。これは本当にヤバい(むつみちゃんはかわいい) |
さて。ここまで、3段落も書いておいて何だが、実はCEROによる表現規制とかいうザコはどうでもいい。ここからは、ガチでやばい「課金ガチャ&オンラインゲーム」について触れていくことにしよう。
…まず、前者の「課金ガチャ」については、ギャンブルのように射幸心を煽る要素である。しかも、この手の基本無料ゲームは、「少数の課金者から大量の料金を取る」という制度になっていることが多く、1人のキャラクターを獲得するために、数万円のお金が掛かることも少なくないうえ、決まった額で必ず手に入るわけでもない。ということで、非常にえげつない商法ではあるものの、分別のある大人がやるのであれば、自己責任と言うことができるだろう。今の社会では、富裕層とまでは言えなくとも、趣味に数万円を出すことが惜しくない人はそれなりにいるため、課金はそういう人のための遊び方とも言える。更に、「無償石」と呼ばれる無料アイテムを集めてガチャを回したり、「スカウト」など少額で狙った旧キャラを入手できるシステムも存在するため、それらを使えば、完全無料または少額の課金でも、楽しく遊ぶことは不可能ではない。この手のゲームの多くは、育成ゲーム的なシステムを取っているため、リソースの管理もゲーム性と捉えれば、メリハリを持って遊ぶことが可能である。
――が、そういった自己責任で楽しめるのは大人だけである。そもそも、ガチャの集金速度は、大人ですら破滅することもあるほどであり、それに子供がハマってしまってしまえば、それこそ子供のお遊びでは済まされない。例えば、私のやっている「アイドルマスターシンデレラガールズ:スターライトステージ」では、約9万円ぶんガチャを回すと、「天井」によって狙ったキャラを確実に入手できるのだが、仮に月5回登場するガチャで全て天井をしていると、1ヶ月あたり45万円が消えていく。これは、1年で500万〜600万円の医療費が掛かると言われている人工透析と同レベルである。何が言いたいかというと、人工透析はガチャで毎回天井しているのと同レベルの金銭的負担なので、可能な限り健康を維持して透析を避けるようにしようということなのだが、そんなのはどうでも良く、これを子供に自由にやらせてしまったら、あっという間に家が傾いてしまう。一応、アプリによって課金額の自主規制が為されている場合が多く、子供が勝手に課金した際には返金を受け付けてくれる場合もあるようだが、それらの規制はあくまで自主規制であり、完全なものではない。これは、子供の頃にSFCや初代PSしか無かった私たちの時代とは全く異なる、別次元の脅威として扱っていかなければならないのだ。
また、後者の「オンラインゲーム」については、いつの時代も頻出するネットいじめを除いても、プレイ時間という物理的なダメージが存在する。
…やれ、オフラインなら、最近のゲーム機ではいつでも一時停止が可能であり、自分の都合でやめることができる。だが、オンラインだと、他の人間が居るうえ、途中退室をするとチームが不利になる場合が多いため、簡単にはプレイを中断できない。場合によっては、食事やトイレに行く暇すらなく、「ボトラー」「オムツァー」などという怪奇言語が発生したほどである。加えて、オンゲではランキング要素が用意されていることが多く、その最上位に行くためには、常軌を逸した連続プレイを求められることがある。そういった協力プレイ&ランキング要素により、数十時間の連続プレイのあげく死体となって発見されたという事件も、何故か東アジアを中心に、それなりの頻度で発生している。私がプレイしている「スターライトステージ」でも、もし本気でイベント1位を目指すのならば、寝ずに1週間連続プレイをしなければならない。それによる身体的ダメージを防ぐため、規約で禁止されている複数人プレイをしている者や、曲が終わる2分間隔で睡眠と覚醒を繰り返す仙人も居るという噂だ。
――ちなみに、もちろんゲーム業界側も、このオンゲの連続プレイ時間という問題に対して、何も行っていないわけではない。例えば、PS2での第1作からオンライン要素のあった「モンスターハンター」では、1クエストの制限時間は最大でも50分となっている。これは明らかに、連続プレイによる人体への物理的ダメージを避けるための処置であろう。が、こういった対策も、やはり統一基準が設けられておらず、メーカー&ユーザーの自主規制に委ねられている。やれ、私が子供の頃は、ゲームを終了するために「セーブポイント」が必要であり、決められた制限時間通りにやめられない(または、やめたくないのでやめない)という問題があった。しかし現在では、据え置き機にすらスリープ機能が搭載され、技術によって問題が解決されたと言える。ところが、それとは別の技術で実現されたオンラインゲームは、「ゲームのプレイ時間」という問題を別次元の脅威へと持っていったのである。
ということで。個人的には、記事の前半部で挙げたCEROの表現規制など、どうでも良いと思っている。私だって、小学校低学年の時から「北斗の拳」といった暴力的な漫画やアニメを見て育ち、その後もゲーム機の進化と共に、「バイオハザード」など、ドギツい表現のあるゲームを遊んできた。それに、いま流行の「鬼滅の刃」だって、凄惨な殺人シーンが含まれる作品である。子供というのは、背伸びをしたいものなのだ。それで何かの失敗をしたところで、そこからいくらでも立て直せる。可愛い子には旅させろ、なのだ。
…しかしながら、後半部で述べた課金ガチャ&オンラインゲームは、子供の遊びで済ませられる限度を遥かに超えている。可愛い子には旅をさせろと書いたが、麻薬中毒にして帰せとは誰も言っていないのだ。
――そんなわけで。技術の進歩により登場した「課金ガチャ」や「オンラインゲーム」の脅威は、旧来のオフゲのそれを遥かに凌駕している。これを何とか上手に扱わなければ、ゲーム業界の未来は明るいとは言えない。もう、SFCやPS1といったオフラインゲーム機しかなく、「ゲーム中毒」が、単なるゲーム好きへの蔑称にすぎなかった時代とは違うのだ。どういうふうに向き合っていくのが良いのか、我々も考えていかなければならない。
(2020年12月23日) 4247 PV
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