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管理人の日記
太刀では入れ替え技ばかりを使って大剣みたいな戦い方になっていた
単にワールドの劣化版とせず、独自の魅力を持たせたところは大変よい |
ニンテンドースイッチで今年3月に発売された「モンスターハンターライズ」をクリアしました(下位&上位の全クエスト達成まで)。今作は、PSPと3DSで発売されてきた作品の系譜を汲んだ、良くも悪くも携帯機向けのモンハンになっていたと思います。
…さて、「モンスターハンター」シリーズは、変わった経緯で販売が為されてきている。今から10年ほど前にはPSPで大ブームを引き起こしたものの、2010年の『ポータブル3rd』を最後に、何故か全くPSハードの展開が為されなくなり、では任天堂据え置き機を使うかというとそういうわけでもなく、性能・機能で大幅な制限のある3DSでの独占展開となっており、2011年〜2017年で合計5作が発売された。まあ、今となっては、この3DSシリーズでモンハンを始めた人も多いであろうから、あまり大っぴらには批判できないのだが、結果だけを言うと、この時期に私は全くモンハンをやらなかった。
――そして、その後は、2018年1月にPS4などで『ワールド』が発売され、新たなグラフィックとシステムでモンハンがリニューアルした。私は、発売当初はあまり興味がなかったのだが、秋になってからプレイを始め、進化した機能やオンラインプレイ、そして「歴戦王」に代表されるやり込み要素にハマりにハマり、2019年9月の『アイスボーン』と合計して900時間という、自分の中ではPSP時代を超えるほどの大ブームとなった(関連/【プレイ日誌:ベヒーモス討伐記】、【日記:2020/10/22】など)。そして、これまで日本で人気の高かったモンハンシリーズだが、『ワールド』の名の通り、世界でも受け入れられるようになり、累積出荷本数で1730万本というカプコン史上最大のヒットタイトルとなっている(2021年6月30日時点。全機種合計、『アイスボーン』は820万本)。
というのが、ここまでの流れなのであるが、あくまで『ワールド』は据え置き機向けのモンハンである。その一方で、しばらく親しまれてきた「携帯機向けのモンハン」は果たしてどういう扱いになるのか、発売されるとしたら「いつ」「どのような形式になるのか」ということは、私も気になっていた。
――そんな中、今からちょうど1年ほど前に、ニンテンドースイッチにて「モンハンライズ」の発表が為されたのである(【YouTube】)。その映像の中には、和風・忍者・空中移動・妖怪といった感じの要素が盛り込まれ、『ワールド』とは異なる雰囲気の作品であることが明らかになっていた。また、任天堂ハードとしては、3DS→スイッチで桁違いに性能が向上しており、それをどこまで内容に反映できるかということが、私は気になっていた。そして、それらの違いにより、PS4やPCとは異なる層に、どこまで波及できるかということにも注目していた。やはり、新規ユーザー、特に10代の子供たちにゲームを遊んでもらうことが、業界全体の活性化に繋がるからである。このサイトも10代の少年少女に閲覧してほしい(無理)。
ライズで初めてモンハンに触れた皆さん、これが「悔しさ」です… |
そういうわけで。私は、発売日の3月26日から少し遅れ、この夏になってから『ライズ』を遊びはじめたのである。
――まず、今回プレイで変えたこととして、これまでは片手剣をずっと愛用してきたが、今回は太刀を使っていった。理由として、『ワールド』の片手剣では「左スティック&△ボタン」で方向転換をしながら連続攻撃ができ、非常に気持ち良く操作ができた。しかし、ライズでの似たような攻撃は、「左スティック&X+Aボタン」という同時押しに変更されており、しかも自分のプレイ環境だと、Bボタンまで押してしまって回転回避が暴発する事態が頻発した。この辺りについて、体験版プレイ時に違和感を解決できず、どうにもしっくり来なかったため、本編のプレイ時に、片手剣から武器を変えてみようと思った。その結果、『ワールド』の際にも少しだけ触れていた太刀に白羽の矢が立った…ということである。
そういうわけで。私は、コロコロ漫画の主人公みたいなキャラクターを作ってゲームを進めていったのだが、まず私は、ニンテンドースイッチの特色を活かす、カプコンのゲーム作りの巧みさに感銘を受けたのである。
…まず、最も気になったグラフィック面に関しては、私は携帯モードでプレイをしており、PS4の『ワールド』と比べても、大きくは見劣りしない程度の画質を実現できていると感じた。やれ、これまでの携帯機向け作品と言うと、3DSの『4』シリーズは、10年前にタイムスリップしたかのような、やる気の消え失せる見た目であったが、今回の『ライズ』では現世代として見劣りしない品質になった。モンスターの質感などは、『ワールド』に比べてもかなり良いところまで迫っている。一方で、炎や煙と言ったエフェクトは、やや残念な感じとなっているが、携帯向け作品としては合格点であろう。私は、携帯機がグラフィック面で据え置き機を上回るなどということは全く思っていないので、携帯性とのトレードオフとして、十分に満足の行く画質であった。
――そして、このグラフィック表現については、どうも「バイオハザード7」などで使われた「REエンジン」を、スイッチ向けに取り込んだことに由来しているようである。据え置き機向けの開発機能を、携帯機に使用し、ここまでの高グラフィックを実現するとは、さすがカプコン、略してさすカプである。
そして、見た目以外の内容面としては、スイッチ向け作品として、「ワールドポータブル」のように、『ワールド』の移植+αとする手も有ったと思うのだが、あえて『ライズ』では別世界を舞台とし、新要素を多く取り込んだ作風となった。これも、私としては大成功だと思うのである。
…まず、大きな新システムとして、「翔虫」(いま初めて「ショウチュウ」ではなく、「カケリムシ」と読むことを知った…)を使った空中移動が存在する。これ、最初こそ慣れなかったが、非戦闘時の移動手段として大変有用であり、関連アクションの壁走りとともに、ZL+ZRであちこちピョンピョン飛び回って遊べた。また、戦闘中は、転倒時の隙を軽減できる「受け身」と、ゲージを消費した攻撃技の「鉄蟲糸技」というものが存在する。当初、受け身が強すぎて戦闘がワンパターンになりがちと思っていたが、翔虫を攻撃にも転用できるということに気づいた後は、俄然ゲージの管理が重要となった。こういう、新システムをしっかりゲーム性として完成させてくるところは、さすが“アクションゲームのカプコン”、さすカプだ。
――加えて、その他の点においても、「Lボタン+右スティックでのショートカット機能」「ベースキャンプでのアイテム補充・装備交換」「回復薬を使いながらの移動」「ダメージ数値の表示」など、『ワールド』で一新された便利機能の数々は、多くが取り込まれている。無くなったものもあるが、代わりのシステムが多く導入されており、「ゲーム性の変化」という感が強い。そして、発売時期上ではシリーズの最新作であるため、「食事システムの最適化」や「基本アクションを変更できる『入れ替え技』」「ロード時間の短縮」など、『ワールド』『アイスボーン』よりも優れている点すらある。
ちなみに、難易度としては、基本的に緩く、適当に攻撃して、喰らったら「受け身→回復薬」で誰でもクリアできるRPGゲームのようなバランスとなっている。そのため、途中まではゲーム性が消えかけているような雰囲気すら感じたが、さすがにストーリー終盤からクリア後は、それなりに難易度が上がっていった。また、最後の最後で追加された「ヌシ」という6種類の強化個体については、本作が忘れかけていた悔しさを一点集中させたようなモンスターとなっており、久々にモンハンらしさを感じることができた。
ちなみに、登場する大型モンスターの数としては、現行の最新バージョンであるVer.3.3.1の時点で45種類(ヌシを別モンスターとして数え、ラスボスのバージョン違いを別として考えない)である。『ワールド』が、様々な追加を経たうえで35種類(亜種は別モンスターとして考える。各種の強化個体は同モンスター扱いとする)なので、数字の面では、『ワールド』よりも勝っていると言える。もっとも、後述するように、必ずしも内容面で勝っているとは言えないものの、私も全クエストコンプリートまでで80時間も遊べたため、ボリューム面での心配をする必要は無いと言えるだろう。
イントロの三味線×尺八のところがカッコいい!
けど、その後が印象に残らない… |
そういうわけで、私は『ライズ』を、全クエストクリアーまでは遊んだ。しかし、残念ながら『ワールド』『アイスボーン』の時とは異なり、既にお腹いっぱいであり、クリア後の更なるプレイに繋げようとは思わなかったのである。というか、HR50以降の時点で、既にかなりダレていた。
…その理由として、敵モンスターが弱いため、キャラクターを強化する意義が乏しいというのがある。『ワールド』の頃は、ストーリー中では超凶悪な「ネルギガンテ」が登場し、クリア後にもバゼルギウス2体討伐や歴戦キリンといった要所での難関があり、オンラインでは歴戦王といった強化個体も配信されていたため、キャラクターを育成する楽しみがあった。しかし、『ライズ』ではストーリー上もクリア後も、詰むような場面が全く無かったため、新装備を作る前向きな気持ちが持てず、やらされ感がとても強くなってしまった。テオ・テスカトルくん!
君のことだよ! 何個たてがみ要求するの!
――ちなみに、前述した「ヌシ」は、一転してやりがいに溢れすぎたモンスターとなっていたが、単体クエストの存在に気づいたのがHR100を超えた頃であり、既にプレイ意欲が下がっていたため、作業的に倒すだけで終わってしまった。もう少し、出し方や扱いに工夫があれば、「歴戦王」に匹敵するやり込み要素として遊べたのかもしれないが…。
そして、クリア後もプレイを続ける気にならなかった更なる理由として、コンテンツの出し方がよく分からないというものがある。
…まず、『ワールド』や『アイスボーン』では、大型アップデートで新規モンスターを追加することはもちろんとし、それ以外にも、受注回数に制限のある「歴戦」、強化個体の「歴戦王」、週ごとに課題を出す「配信バウンティ」、イベントクエストが全解禁される「アステラ祭」など、様々な要素が用意されていた。また、新規モンスターも、「マム・タロト」や「ムフェト・ジーヴァ」といったクエスト形式が特殊な奴らや、「ベヒーモス」「レーシェン」「アルバトリオン」といった考え方を変える必要のある敵、そして「ミラボレアス」のような尋常ではない強敵など、特殊なモンスターが多く登場した。これらの特殊なクエストについては、「遊び方を強要されている」「大縄跳びオンライン」「悔しい」などと、批判的意見が多かった気がするが、私としては、「ただ強いモンスターを倒すだけ」という感じでなく、様々な遊ばせ方で楽しませてくれたように思うのである。クオリティが高いだけでなく、甘みの中に苦味を含むような、少しだけ理不尽な要素があるような感じのほうが、強く印象に残るのだ。
――いっぽう、『ライズ』についても、2回の大型アップデートで様々なモンスターや装備が追加されたのだが、こちらは「ただ強いだけのモンスター」を追加するに留まっていると感じる。考え方を変えなければ倒せないような敵は出てこず、“イベント”として追加されている感も無いため、数回倒せばそれで満足してしまうのだ。そして、新たな展開として、『ライズ』では発売から2ヶ月後のアップデートで本編ラスボスを追加するという更新が為された。やれ、私は、この最新バージョンに変わったあとにプレイをしたため、直接の体感はしていないのだが、どうも「ストーリーが未完結の状態で発売した」と非難轟々だったようである。まあ、あの『FF13-2』と比べて、アップデート自体は無料であるため、その点だけは恵まれていると言える。しかし、私の25年くらいのゲーム経験の中で最悪の例と比べてマシというだけで、決して誇れるものではないだろう。
ちなみに。私が上の方で、モンスター数について「数字の面では、『ワールド』よりも勝っている」と微妙な表現をした理由はもう一つあって、それは音楽についてである。まあ、個人の好みだが、あまり今作の戦闘曲はピンと来なかったのだ。
――そして、『ライズ』で多く登場した完全新規モンスターについても、弱いうえに専用曲が用意されていないため、数の上では大量に登場しているものの、強烈な印象を残したモンスターは多くない。でも、『ワールド』についても、完全新規の曲を持つ敵はそこまで多くないから…と言いたいところだが、あちらはグラフィックという強みがあるのに対し、『ライズ』はどうやっても性能的に無理があるので、音楽で頑張ってほしかった。結局、『ライズ』のBGMで印象に残っているのは、村のなんか歌ってるやつ@と、オトモ広場のなんか歌っているやつAであり、モンスター討伐と結びつかなかったのは残念である。まあ、曲だけが悪いのではない。ゲームは総合力の娯楽であり、総合的にバトルにハマらなかったのだ。
その他、あまり重要なことではないのだが、今作のモンスターは全体的にバカバカしい攻撃が多かったように思う。
…例えば、3DS作品からの復活モンスターとして登場した「タマミツネ」は、グルグルとその場で回って泡を発生させ、その上を滑りながら水流ブレスで薙ぎ払うという滅茶苦茶な動きをする。ゲーム的にやりたいことは分かるのだが、そんな動作をする生物は居ないだろう。また、完全新規モンスターとして登場する「オロミドロ」は、泥を使った攻撃をするのだが、泥のエフェクトがショボいうえ、陸地の上でも泥津波を発生させ、しかも陸に体が埋まることなど日常茶飯事であり、見た目的に非常に浮いている。実際には沈んでいるのだが。そして、ラスボスの片割れは、恐らく光・雷と言ったイメージのモンスターなのだろうが、正球の光弾を飛ばしてきたり、光弾がドーナツ型に綺麗に広がっていったり、明らかに「翔虫で飛び越えてくださいね〜^^」という感じの地面攻撃があったりと、ものすごくゲーム上の都合を感じる作りになっていた。
――まあ、モンハンシリーズは、アクションゲームなので、このように弾幕シューティングのような攻撃が出てくるのも、ある程度は致し方ないであろう。しかしながら、一応は生物的な描写にこだわっているとされることもあるゲームであり、「魔法」のような攻撃は少なく、肉体を活かした力強い打撃や、飛び道具に関しても、火や風といった感じで、ある程度の説得力を持たされていた。それが『ライズ』では一気に割り切ってしまったため、急に作風が変わったかのようにすら感じる。まあ、言われてみると、『ワールド』『アイスボーン』でもバカバカしい技は多かった気がするが、あちらではここまでの違和感を覚えることは無かった。何だろう、グラフィック的な説得力が関係しているのかな…。
良くも悪くも、「携帯機向けのモンハン」だった |
そういうわけで。『ワールド』も『アイスボーン』も、クリア後のコンテンツについては批判が多かった気がするのだが、それでも合計2年・900時間遊べたのだから、個人的にはオンラインタイトルとして、上手く運営ができていたと思う。それに対して、『ライズ』は、クリアだけで満足してしまう懸念があり、実際に私は80時間でプレイを終えることにしてしまった。この辺りについては、全然さすカプを感じない。
…ちなみに。『ライズ』の今後については、まだ詳細には発表されていないが、アップデート予定が「カプコン社内コラボ」で埋め尽くされており、内容面は絶望的である。カプコンは、5ヶ月で730万本以上を販売し、様々な層にモンハンを触れてもらえた『ライズ』より、位置付け不明の『ストーリーズ2』のほうにお熱のようだ。そりゃあ、アップデートで『ライズ』を長く遊べるようにしたら、『ストーリーズ2』を買ってもらえないのかもしれないが…。
――よって今後、「ライズアッパー」とか「ライジングサン」みたいな良い感じの名前にして、大型の追加パックも発売されるのだろうが、私は『アイスボーン』に比べて、購入意欲が上がっていない。何故なら、このままだと、『ライズ』のようにサッと遊んでそれで終わりになってしまうことが目に見えているからだ。個人的には、オンラインの運営型タイトルとして、『ワールド』は成功だが、『ライズ』は失敗だと思っている。前作の数々の実績のうち、何故そこだけは引き継がなかったのか…。
ということで。『ライズ』は確かに「携帯機向けのモンハン」として優れた出来であるが、しかし悪い意味でも「携帯機向けのモンハン」であり、最終的には“本編”であった『ワールド』には及ばないという印象で終わってしまった。HR50を超えて少し経った辺りからは、早く終わらせて次のゲームをやりたいとすら考えていたくらいである。この辺りは、カプコンの遊ばせ方がサッパリであり、クエストの出し方や内容を工夫することで、今より遥かに延命ができていただろう。実際には、“尻切れトンボ”になったことで、全体的な印象が必要以上に悪くなっている感もある。この記事と同じで、後ろのほうにネガティブな情報が集中したため、最終的なイメージも悪化してしまったのだ。
…やれ、今後のモンハンシリーズの流れとしては、これまで通りのパターンなら、2022年頃に『ライズ』の大型追加パックを配信し、2023年になってから、満を持してPS5などの次世代機に対応した“本編”を出すというところであろうか。ただ、『ワールド』と異なり、『ライズ』で2年は維持できない気がする。恐らく、カプコン的には、『ライズ』はあくまで携帯機向けの簡便な作品であって、“本編”という位置付けではないのだろう。ユーザー側としては、ライズを“本編”と捉えている人も多いと思うのだがな。
――それでも、振り返ってみれば、3DS作品から大幅な進化を遂げた携帯機向けモンハンを80時間遊べたというのは、評価ができるポイントである。今後の付き合い方としては、まあモンハンから少し離れていたほうが、また新作が出た時に新鮮な気持ちで楽しめるようになるのかな…。
(2021年9月1日) 5005 PV
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